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40歳までにおしゃれになりたい(仮)!

おしゃれは好き、だけど何かうまくいかないあなたへ。
トミヤマユキコさんと一緒に悩みながら、どうにか素敵女子を目指しましょう…!

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vol05

悩み多き三十路のパーティ服

vol01

決して社交的とはいえないわたしのような人間にも、パーティのお誘いはやってくる。30歳を過ぎたあたりから結婚パーティは減少傾向にあるけれど、文学新人賞のパーティや、大学の教員懇親パーティなど、仕事関係のお誘いが増えて、年間パーティ数は横ばいをキープしている。

どのパーティもぶっちゃけ自分が主役ではないのだから、手を抜いたって構わないし、逆に主役ではないからこそ、好き勝手するという手もある。でも、どちらもあまりいい案とはいえない。手抜きスタイルでオシャレな知人に会ったりしようもんなら、恥ずかしさで死にたくなるし、かといって好きな服を着ようとすると、それはほぼ例外なく個性的すぎる圏外ファッションであって、人びとの印象に残りやすい。つまり着回しがきかない。てことはコスパが悪い

「着物に頼る」という方法もあるにはあるのだが、着慣れていないひとだと、歩き方から何からずっと気にしていないとダメだし、いったん着崩れようもんなら、手の施しようがない。花火大会の帰り道に大量発生する胸元ダルダル系女子を思い出して欲しい。あの惨状を目にするたび、わたしは「着物には頼らない」という思いを新たにする。着るとしたらちゃんと修行してからじゃないと……とかいいつつ、怠け者だからやる気が起きない。

そうなると洋服しか選択肢はない。20代の頃はいい。テカテカでペラペラのサテンワンピに謎のボレロを合わせていても許される。アクセサリーもバッグも安物で構わない。なぜなら若さこそが華だから!若者という存在それ自体からお祝いムードが溢れるから!そのことがわかっていなかった20代のわたしは、やたらとお金をかけてシックな格好をしていたが、あれは完全に間違えていた。もっと若い女であることにあぐらをかいてもよかったのだ。

30代に突入すると、当たり前だが若さというカードが切れなくなってくるから大変だ。20代と同じ格好をすれば、イタいだの若作りだのと思われてしまいそうで、なんだか恐ろしい(強迫観念)。狙うべきは、大人らしい雰囲気の中に、適度な華やかさがあり、テカテカでもペラペラでもなく……という絶妙なライン。

バッグは筆者の私物です。シャネルブティックへのお問い合せはお控えください。

いつかコレがちゃんと似合う女になりたい……なってみせる……(※バッグは筆者の私物です。シャネルブティックへのお問い合せはお控えください。)

この難題をクリアするため、ある日のわたしは、伝家の宝刀「母親のシャネルバッグ」を小脇に抱え「あとは適当な黒ワンピにパールのネックレスでも巻いてりゃいいんでしょ?」と得意顔でパーティ会場へと向かった。どんな格好もワンランクアップして見えるのがシャネルだと信じて疑わなかった。しかし、会場に到着するやいなや、知人に「なにそのバッグ?どうしたの?」とニヤけ顔で訊かれ、伝家の宝刀がボキボキに折れる瞬間を目の当たりにしたのだった(つらい)。どうしたもこうしたも、勝負バッグだよ!と思ったけれど、全然しっくりきてなかったんだろうなぁ(泣)。

母親のいい味出してるシャネルでも救えないほどの服……伝説の剣を持ってるくせに着てるのが「かわの服」みたいな感じだ(RPGで旅をはじめたばかりの勇者が着るのがかわの服。裸よりマシ、ぐらいの感じです)。武器と防具のバランスが悪すぎる。このままでは母親にも申しわけがない。


 やっぱり●●が正義!
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【Vol.5】悩み多き三十路のパーティ服(つづき)

vol01

比較的お財布に優しい価格で、大人シックな感じで、着回しはきくが普段着っぽくなく、ブランドもののバッグがちゃんと映える。そんなパーティ服が欲しい。とても欲しい。自分でも呆れるほどワガママな条件だが、仕方がない。なるべくラクしてオシャレになるのが当連載の目標だ。

で、リサーチの結果はこうだ。まず、色はネイビーを選ぶとよいらしい。どうしても黒が多くなる会場内で、ほどよい明るさがあり、アクセサリー次第でスイート系/クール系、どちらの見せ方もできる。30代向けとして、濃いグリーンやマスタードイエローなどを推す向きもあるようだが、普段着として着回すことも考えると、やはり「ネイビーが正義」である。

そしてデザイン的には、遊び心があまりないものを選ぶべきだ。これが圏外ファッション愛好家にはキツいところなのだが、デザインされまくっているものは、人の記憶に残りやすいばかりか、急速にダサくなる。しかし、あまり禁欲的になりすぎても、せっかくのパーティが面白くない。「遊び心は1箇所まで」というルールでいこう。それでも遊び心が満たされなければ、アクセサリーやバッグ、あるいはヘアメイクで埋めればよい。

ここまでなんとなくワンピース(スカート)を前提に話をしてきたけれど、最近流行のオールインワンやセットアップ(パンツ)でもOKだ。とくに寒さが苦手なひとにとって、パンツスタイルはかなり助かる。落ち着いた大人の女を演出できるという意味でも、パンツという選択は悪くない。

実はこの原稿がアップされる丁度その時期に、知人の結婚パーティがある。論より証拠。このリサーチ結果を参考に服を買い、実際に着てみようじゃないか。やはりこういう連載は、身銭を切ってナンボだ。その結果がどうなったかについては、いずれ日を改めて報告します!
今回気になったアイテム
  • なんの変哲もない、と思わせておいて袖のデザインに遊び心があるワンピース。体のラインを拾わないシルエットなので、パーティフードも食べ放題だ!

    なんの変哲もない、と思わせておいて袖のデザインに遊び心があるワンピース。体のラインを拾わないシルエットなので、パーティフードも食べ放題だ!
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  • ワンピース+スカートの便利でかわいいセット。スカートに光沢感があり、まさにパーティ向き。ワンピだけの時は首回りをスカーフやネックレスで盛りたい。

    ワンピース+スカートの便利でかわいいセット。スカートに光沢感があり、まさにパーティ向き。ワンピだけの時は首回りをスカーフやネックレスで盛りたい。
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  • パンツ派の方にはこちら。正面から見ると大人っぽい落ち着いたデザインだけれど、背面スリットからレースが覗くという演出が◎。大人ガーリー!

    パンツ派の方にはこちら。正面から見ると大人っぽい落ち着いたデザインだけれど、背面スリットからレースが覗くという演出が◎。大人ガーリー!
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トミヤマユキコトミヤマユキコ

ライター・大学講師。大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア刊)が話題に。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当している。そのほか「週刊朝日」、「文學界」、「ESSE」などで書評・コラムを連載中。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。
Twitter @tomicatomica

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